WIERDのブロックチェーン特集が思い出させてくれたこと。
WIREDというメディアをご存知だろうか。
テクノロジーにフォーカスした、未来を語るメディアである。
会社で働き始めた4月から8ヶ月経ち、僕は会社生活というものにも慣れてきて、職場の人間関係に驚くほど悩みもなく、たぶん日本においては非常に働きやすい方の職場で仕事ができている。
いまの仕事はそれなりに楽しい。とはいっても、まだまだ満足のいく仕事ぶりとは自分でも思っていないし、目の前の業務で僕にできることは数多くあって、もっとエキサイティングなものにできるとすら思っている。
ただ、毎日に何かが足りていないと、働き始めてからずっと思っていた。
いや、毎日非営利のプロジェクトばかりに没頭していた大学院時代の後半から、少しずつ感じ始めていた違和感かもしれない。
今日、偶々だけれども、WIREDのWEB記事を読むことがあって、気になったので雑誌を買ってみた。気になってはいたけれどあまり理解していなかった「ブロックチェーン」についての特集をやっていた。
これが久しぶりの、もしかしたらここ1年で一番の刺激と興奮を僕にもたらしてくれた。
テクノロジーってこんなに楽しかっただろうか。。。
最近アウトプットばかりで、面白いテクノロジーにわくわくするような時間を持てていなかった。不足していたのはこれだと感じた。僕はテクノロジーが好きなのだ。好きなことに時間を使えていなかったみたいだ。
テクノロジーが隆盛して最高に面白い21世紀初頭の日本に生まれたからには、未来についてワクワクする特権を全力を行使していきたいと思うものだ。
ふと、工学部時代を思い出した。
固体物理学とか量子力学とか面白かったなと。基礎基本の物性研究ばかりで飽きてしまったけれども、それ自体は面白かったし、もっと社会との接点を見いだせていたら僕はいまも学問の世界にいたのかもしれない。
「ブロックチェーン」に感じた可能性を少し話すと、もしかしたらこの技術は、僕たちの働き方を一変させるかもしれないということだ。
僕は常々、会社に囚われた働き方に疑問を持っている。理想は、プロジェクト単位で有志が集まり、問題を解決し、終わったら解散するチーム型の働き方だと思っている。
共有するのは企業文化でも帰属感でもなく、同じミッションに向かって走るということだけ。僕にはそれが最も個々人を大切にした合理的な働き方に思えているのだ。
一方で、いまの仕事でも、よりよい会社は何か?という問いを考えることが多い。
もちろん、これからの世界で、会社が消滅することはないだろう。一極集中的に大きくなるグローバル企業が国家に類似した機能を持つ可能性はあるけれども、それとは別に中小企業はしばらくの間機能し続けるはずだ。
だから、まずは会社のなかに、この「同じミッションに向かって走るプロジェクトチーム型の働き方」を導入できないかと思案してみたい。
部署を分けるのではなく、必要なプロジェクトのたびに、必要なメンバーがアサインされる組織。プロジェクトアサイン数が多いほどハードワークになるけれど、その分貢献度に応じた報酬を約束される。
この際に難題になるのが、「人事評価」の方法だ。貢献度を何によって計るのか?この問いに、給与テーブルを用いずに回答するのは非常に難しい。人々の貢献度は数値化できない類の指標も考慮しなければならないからだ。
そこで、僕は「ブロックチェーン」が活躍できるのではないかと考えている。
ブロックチェーンの詳細を要約できるほどの理解に至っていないので細かい説明は避けるが、例えば経営陣や人事といった「中央」が評価の妥当性を担保するのではなく、すべての評価をオープンにし、いわば市場原理的なかたちで評価できるのではないかという期待がある。
いわば、一つの台帳に記録していた人事評価を、分散型台帳に変えて記録することで、「中央」の担う役割は激減し、公正な仕組みが出来上がるのではないか?という可能性である。
もちろん、市場原理で成り立つ経済でインフレやデフレが起こるように、見えざる手に任せっきりの仕組みにはイレギュラーな揺れのリスクが伴う。インフレやデフレを是正するのが政府であるように、人事評価のイレギュラーな揺れを是正するのが経営陣の役割になるのではないだろうか。
ブロックチェーンに燃えるハッカー達は、しばしば自由主義的で反ナショナリズム的なところがあるようなので(つまり革命家に憧れる節があるってこと。まさに僕。)、中央集権を嫌うばかりのスタンスでは現実を語れないという現場プレイヤーとしての意識は保つは必要はあると思っているけれど、どうしてもワクワクしてしまうので仕方がない。
これから、ブロックチェーンについてはあまりに不勉強なので学びまくりたいと思っているし、ちょうど今、個人的な取り組みで働き方について新しい研究を始めたいと思っていたところだったので、何かとタイミングが重なった気がしている。
「プロジェクトベースの企業組織の可能性 〜ブロックチェーンを用いた人事評価の観点から〜」
堅いけれど、論文風のタイトルにするとこんな感じだろうか(笑)
個人的には、この議題から、クラウドソーシングやフリーランスといったいま盛り上がりつつある働き方についても言及できるのではと思っている。そこには、大学院で研究したクラウドファンディングの協働的価値の議論からも示唆を得られるだろう。
「テクノロジーを学び、そこから社会にどう還元できるかを考えること」
僕が最高に楽しいと思えるのはそんな時間のようだ。もう一度自分の原点に立ち返って、個人的なプロジェクトを進めていきたいと思う。